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卒業式式辞 2015/02/28

 本日ここに、ご来賓の皆様、そして卒業生のご家族の皆様、また2階席には卒業50年目をお迎えになった5期生の皆様をお招きして、広島学院高等学校第54回卒業式を挙行できますことは、本校にとりまして大きな喜びです。ご臨席いただいた皆様方に、心から感謝を申し上げます。

 54期生の皆さん、卒業おめでとう。
 6年前、君たちは今と同じ場所で、真新しい大きめの制服に身を包み、緊張した面持ちで、当時の李校長先生から広島学院中学校への入学許可宣言を受けました。それから6年、振り返れば色々な思い出が脳裏をよぎることと思います。友達との日々の何気ない会話や授業中の先生とのやり取り、学院だから経験できた中間体操、仲間と苦楽を共にした部活動、みんなで楽しんだ体育祭や文化祭、修学旅行、そのほか学校でのあらゆる活動を通して、君たちは多くのことを経験し、学びました。そしてかわいい少年から逞しい青年へと立派に成長して、今この学校から巣立つ時を迎えています。

 その巣立って行こうとしている世界は、近年益々複雑化し、先の見えにくい混迷の時代にあります。グローバル化が進み、国と国との垣根は低くなってきましたが、環境問題をはじめ国を超え協力して解決しなければならない問題の多くは残されたままです。文化や価値観の違いを容易には受け入れることができず、各地で悲惨な紛争やテロが起こっています。これらは、日本に住む私たちにとっても遠い世界の出来事ではありません。その日本では、少子高齢化が進み、人口も減少し始めています。競争原理に頼りすぎては、一層格差の大きい社会になってしまうでしょう。
 便利で快適な生活を追い求めることで、本当に豊かな暮らし、幸福な人生を手に入れることができるのか、みんなが真剣に考えなければなりません。

 本当の豊かさは、物との関係から得られるものではありません。人との関係からでしか、得られないものです。人とのより建設的な関係、肯定的な関係を築いていく中に、幸福感は生まれてくるものです。君たちは、この学校で何度も“men for others, with others”という言葉に触れてきました。人との関わりの中で、何をするべきなのか、どうするべきなのかを考えさせてくれる言葉です。「他者のために、他者とともに」というのは、言葉としては簡単ですが、自分のことばかりが中心になってしまいがちな私たちにとっては、深く重い言葉です。その深さ、重さを、君たちはしっかりと学んできたことと思います。

 ところで、卒業証書授与に先立ち、マタイによる福音が朗読されました。「タラントンのたとえ」と言われる、有名な話です。
 主人から5タラントンを預かった僕は、それを元手にさらに5タラントンを儲けた。2タラントンを預かった僕も、同様に2タラントンを儲けた。1タラントンを預かった僕は、それを土の中に埋めて、増やすことをしなかった。この3番目の僕が、主人から厳しく叱られ、持っていた1タラントンを取り上げられたという話です。
 1タラントンしか預からなかった僕は、他の2人と比べて随分低く見られたと感じ、まじめに働くのが嫌になったのかもしれません。あるいは、1タラントンは今の価値で言うと5千万円とも1億円とも言われます。預かるのが恐ろしくなって、無くさないように地中に隠しておいたのかもしれません。いずれにしても、主人は「怠け者の悪い僕だ」と叱りました。

 タラントンは、英語でいうとタレント、才能や技量のことです。この福音はもちろん、お金儲けをしなさいと言っているのではありません。与えられた才能が大きいか小さいかが問題ではない、また、それを使ってどれだけのことができたかも問題でもない、与えられた才能を実りが豊かになるように一生懸命に使うことが、天国に通じる、すなわち本当の喜びに繋がるのだと教えています。自分に与えられた才能に気が付かないこともよくありますが、それも地中に埋めているのと同じです。そういうときに限って、人の才能を妬ましく思ったりもするものです。

 「若者の教育は世界の変革である」という強い信念を、イエズス会は450年以上持ち続けています。他者のために、特に貧しい人や弱い立場の人のために、自分のタラントンをどのように使えばいいのかをみんなが学べば、世界をより善いものに変えることができるという信念です。
 君たちは間違いなく多くのタラントンを預けられています。それをこの学校で6年間、それぞれに磨いてきました。その使い方も学んできました。これからも、まだまだしっかりと磨き、学び続けてください。
 君たちも、もちろん、イエズス会学校で学んだ者として、変革の一翼を担うことを期待されています。今は混迷の時代であると言いましたが、だからこそ君たちの力は必要とされているし、また活躍するべき場はたくさんあります。

 君たちには是非、真実を見る広い視野と、より善いものを目指す高い志を持ってもらいたい。そして本当の豊かさ、本当の幸せを求めて行動するリーダーになってもらいたい。君たちが、それぞれに与えられた場で、それぞれが磨き上げたタラントンを存分に生かして、変革をもたらす力となって活躍されることを、私たちは祈っています。

 最後になりましたが、54期生の保護者の皆様、ご子息のご卒業おめでとうございます。おそらく皆様にとっても、山あり谷ありの6年間だったでしょう。心配事や戸惑いも多々あったでしょうが、それでも毎日お弁当を持たせ、健康に気遣い、ご子息の成長をいつも願われたことと思います。
 54期生の皆さんには、確かに成長した証として、これまで君たちを支えてくださったご家族に、今日きちんと卒業の報告をし、感謝の気持ちを伝えてもらいたいと思います。私からもあらためて、保護者の皆様のご苦労に敬意を表しますとともに、皆様からいただいた数々のご支援、ご協力に対しまして、心からお礼を申し上げます。6年間、ありがとうございました。

 卒業生とご家族の皆様の上に、神様の豊かな祝福がありますよう祈りつつ、私の式辞とさせていただきます。

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