広島学院中学校・高等学校

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2学期終業式 2018/12/19

 今日で2学期が終わります。
 色々な学校行事がありましたが、中でも体育祭と文化祭は多くの生徒が積極的に取り組み、今年もいいものになりました。特に高2の生徒は、中心学年として持てる力を存分に発揮してくれたと思います。また先日の土曜、日曜と、中3の生徒は、寒い中また雨の中、街頭募金に立ってくれました。東ティモールやフィリピン、ネパールのたくさんの方に喜んでいただけると思います。ご苦労様でした。

 もうすぐクリスマスなので、新約聖書のルカの福音書に書かれているクリスマスのメッセージについて少し考えてみたいと思います。ルカの福音書には、馬小屋で飼い葉桶の中に眠る幼子という、多くの人がイメージするクリスマスの場面が描かれています。おそらくイエス誕生から80年ぐらい後に書かれたもので、書かれていることが事実かどうかということよりも、ルカがどんなメッセージを伝えようとしているかを考えないといけない。

 そのルカ福音書のクリスマスの場面は「そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た」という言葉で始まります。皇帝アウグストゥスは、ローマ帝国の初代皇帝。内乱後の秩序の回復に努め、ローマの装いを新たにし、属州統治に力を尽くすなど、内政の充実を図り「ローマの平和」の時代をもたらしたと歴史辞典にあります。ローマ帝国の各地で都市が繁栄し、住民は平和を謳歌した一方で、ローマの支配下に置かれ重税に喘いでいたユダヤの人々にとっては、終わりの見えない苦しみに不満は募り不安は増大している、そんな時代でした。
 紀元前6年頃のことのようですが、身重のマリアはヨセフとともに住民登録のために来たベツレヘムで、お産のときを迎えます。宿屋に彼らの泊まる場所はなかったので、産まれた子を布にくるんで飼い葉桶に寝かせました。
 その幼子の誕生の知らせを最初に聞いたのは、その地方で野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた羊飼いたちでした。
 羊飼いというと牧歌的で平和なイメージを持つかも知れませんが、その時代の羊飼いは過酷な労働を強いられ、羊をつれて移動しながらの野宿生活は、いつ野獣や盗賊に襲われるかもしれないという不安と危険にさらされていました。貧しくて神殿に税金を納めることができず、また安息日を守ることもできなかったので、当時のユダヤの社会通念では、彼らは神の祝福から最も遠いところにいる者とされていました。見下され、軽蔑され、偏見や差別の対象でした。
 そんな羊飼いたちに真っ先に「あなた方のために救い主がお生まれになった」と天使が告げます。羊飼いたちは急いでベツレヘムに行き、飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当て、旧約聖書で約束された救い主の誕生を自分の目で確かめました。
 イエスは後に人々に福音を述べ伝える中で、特に貧しい人、孤独な人、虐げられた人たちに救いがもたらされるよう、彼らのそばに寄り添いました。そうした弱さを担っていた羊飼いを、救い主の誕生の最初の証言者として、ルカは描きました。

 羊飼いたちが幼子を訪ねてベツレヘムに来たとき、街の人たちはいやな顔をして、彼らから離れて行ったかもしれない。何か危険なことが起こるのではないかと警戒したかもしれません。だけどマリアとヨセフは、羊飼いを快く受け入れて幼子を見せました。ここにクリスマスの平和な光景があります。
 私たちも、当時のユダヤの人たちが羊飼いに対して持ったのと同じような偏見や差別、嫌悪を、身近な人、或いは遠い国の人に持つことがあるかもしれません。そういう人たちの存在を、自分と同じように大切に思うことができれば、皇帝アウグストゥスが武力や外交上の取引で築いた平和とは違う本当の平和が訪れるというメッセージを、ルカはクリスマスの物語を通して私たちに伝えようとしているのではないかと思います。

 そういう意味で、クリスマスは自分の存在がどれほど掛け替えのないものであるかを確認する日であり、同時に周りの人たちや他の人たちの存在がどれほど掛け替えのないものであるかを確認する日です。現実に目を向けると本当の平和はとても遠いところにあるものと感じてしまいますが、クリスマスに、そういった愛に包まれた平和に一時でも希望を持つことは、大変意味のあることだと思います。

 24日、3時からカト研のクリスマス会があります。そして5時30分からキャンドルサービスとクリスマスのミサがあります。ぜひ皆さんで来てください。
 そして、クリスマスが終わったらすぐにお正月です。
 新しい年がみんなにとっていい年になるよう祈っています。

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