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講話

卒業式式辞

 暖かな春の訪れの感じられる本日このよき日に、広島学院高等学校第61回卒業式を挙行できますことは、本校にとりまして大きな喜びです。
 新型コロナウイルス感染症対策のため、ここに在校生の姿はなく、ご家族の参列も2名までとさせていただきました。特に2階席の皆様には、舞台しか見えないような席で申し訳ありませんが、ご臨席の皆様とともに、61期生の門出をお祝いしたいと思います。ご来賓の皆様、ご家族の皆様、ご臨席ありがとうございます。

 61期生の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。
 6年前の4月、君たちは、初めて学院の制服に袖を通し、大きな希望と多少の不安を胸に抱きながら、この講堂であった入学式に臨みました。そして担任の先生から一人ひとり名前を呼ばれ、元気に返事をして広島学院の生徒になりました。それから6年、毎日の授業や課外活動、仲間との交友、先生とのやり取りなど、振り返ればたくさんの思い出が脳裏をよぎることと思います。
 ただ感染症拡大の影響で、君たちが中心になって企画運営する高2での体育祭や文化祭は、お客様をお招きできず、規模も大幅に縮小せざるを得ませんでした。楽しい思い出になるはずだった修学旅行は、中止になりました。他にも例年通りにはできずに残念な思いをしたことが多々あったでしょうが、それでも君たちは、毎日前向きに学校生活に励みました。人との繋がりから生まれる温かさが自分の大きな活力になること、また支えられていることに対する感謝の気持ちが互いの結びつきを一層強めることを、君たちは体験してくれたと思います。
 このコロナ禍の2年も含め6年間、君たちは多くを学び、経験し、心身ともに逞しい青年に成長して、今、この学校から巣立つときを迎えています。

 本校の設立母体であるイエズス会は、2年余り前、今後特に意識して取り組む4つの課題を提示しました。これらは、この学校を巣立っていく君たちにとっても重要なものだと思うので、紹介しておきます。
 1つ目は「大切なことの中でも、特に大事にするべきものを選んで行う人になること」です。様々な情報が溢れる中で、何が真実なのか、更に何が大切なのかの見極めは大変重要です。不都合な情報や意に添わない意見にも耳を傾けて、世界の現実や物事の本質を広く正しく理解し、本当に大事なことを選んで行動するよう心掛けてください。
 2つ目は「弱い立場に追いやられている人たちを大切にすること」です。Men for others, with othersのothersとはこのような人たちのことだと、私たちは学んできました。誰もが皆、価値のある者として生かされており、等しく尊厳が守られなければなりません。それを当たり前のこととして、認識してください。
 3つ目は「未来を創る若者たちと共に、これからの課題に、希望を持って挑戦すること」です。君たちはまさに未来を創る若者であり、希望をもたらす存在です。イエズス会は「若者の教育は世界の変革である」という強い信念を持って、教育活動に携わっています。君たちは、その変革の一翼を担う若者として期待されているということを、自覚してください。
 4つ目は「私たちが暮らす地球の環境を、守っていくこと」です。これは、将来どのような道に進んだとしても、誰もが必ず何らかの形で関わらなければならない課題です。この地球を後々の世代にいい環境で残すために、叡知の結集が求められています。この求めに応えてください。
 示された課題はこの4つです。君たちには、広島学院を卒業した後もこの4つをしっかりと心に留めてもらいたい。そしてさらに研鑽を積み、修養に励み、高い志を持って自分の進むべき道を見つけてください。君たちは間違いなく、多くの可能性を持っています。

 ところで、卒業証書授与に先立ち、ヨハネによる福音書が朗読されました。イエスが十字架上で亡くなる前夜、最後の晩餐を終えた後、弟子たちに語った別れの説教の一節です。
 ぶどうの木は、当時の聖書の世界では、誰にとっても身近なものでした。その枝は、細いけども、幹に繋がっていれば幹からの栄養分によってたくさんの実を結びます。同じように、私たちもイエスという「まことのぶどうの木」に繋がっていれば豊かに実を結ぶと、この福音は教えています。
 では「他のぶどうの木」ではなく「まことのぶどうの木」に繋がるとは、どのような生き方をいうのでしょうか。それはイエスがいつも弟子たちに語っていたように、富や名誉、自己満足の追求を根本に置いた生き方ではなく、人の役に立ち、人に喜んでもらうことを、自分の喜びとする生き方です。そして、このような生き方によって結ばれる実は、愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和であると、聖書の別の箇所に書いてあります。私たちに本当の豊かさをもたらす実です。

 君たちは、今まで広島学院の生徒として、まことのぶどうの木に繋がることを大切にする生き方を、学んできました。これからも広島学院の卒業生として、まことのぶどうの木に繋がることを、同じように大切にしてもらいたい。そして、Men for others, with others を生きるよきリーダーになってもらいたい。
 よきリーダーとは、人と共に働くリーダー、人のために自分の能力を惜しみなく発揮するリーダー、いつもマジスを目指すリーダーです。よきリーダーとなって、それぞれに与えられた場を本当に豊かな社会へと導いてください。君たちの活躍を私たちは楽しみにしています。

 最後になりましたが、61期生の保護者の皆様、ご子息のご卒業おめでとうございます。
 皆様はこの6年、思春期という多感な時期を過ごすご子息に、戸惑いや不安、時に苛立ちをお感じになったこともあったでしょう。それでも皆様は、毎日お弁当を持たせ、健康に気遣い、子息の成長を願われたことと思います。
 61期生諸君は、今まで君たちを励まし支えてくださったご家族に、今日、きちんと卒業の報告をし、感謝の気持ちを伝えてください。私からもあらためまして、保護者の皆様のこれまでのご苦労に敬意を表しますとともに、皆様から頂いた数々のご支援、ご協力に対しまして、心から感謝を申し上げます。
 6年間、ありがとうございました。

 卒業生とご家族の皆様の上に神様の豊かな祝福がありますよう祈りつつ、式辞とさせていただきます。