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講話

7月3日 朝礼

おはようございます。

 毎年6月に全校生に「生活実態調査」を実施していますが、今年の学年ごとの調査結果を先日見せてもらいました。それによると、平日の平均自習時間が最も多いのは当然高3で、次が何故か中1、以下、高2、高1、中2、中3の順です。例年とあまり変わりはありませんが、順番はともかく、中2や中3を中心に勉強時間の少なすぎる生徒が多い。毎年中1に配る「学院生と学習」には「広島学院では毎日、2~3時間の家庭学習を、要求しています」と書かれています。忘れないように。
 そしてもう1つ気になるのが、どの学年も、携帯やネットに費やす時間が平均して増えているという点です。使う目的にもよるのかもしれませんが、しかし、平日に毎日1時間も2時間も使わないと気が済まない、止めなければならないときでも止められないという状況だと、依存傾向が見られるということになります。2年前にも話しましたが、ほどほどにしておかないと、勉強や睡眠の時間が減るだけでなく、質も低下する。さらにそれが高じると、体も心も健康を損なう。そして人との現実的なコミュニケーション能力が身につき難くなります。こういった携帯やネット依存の恐ろしさを、みんなもよく知っておかないといけない。

 さて、先週から廊下には「平和を実現する人々は幸いである」という言葉を掲げてもらっています。先週の朝礼では、聖書に書いてある平和の実現について私の思うところを話しました。今朝は、聖書からは離れて、「世界平和度指数」について話します。平和の研究に取り組む学者や各分野の専門家が協力して、平和を実現する条件として23の評価項目を挙げ、それらの項目がそれぞれどの程度平和の実現に近い状態にあるのか、あるいは平和から遠いのかを数値化するための最適な評価法を研究し、作り出しました。そして国ごとに各項目の数値を算出し、その総合点をその国の平和度指数とするのだそうです。評価項目は、その国の軍事力、軍事費、兵器の輸入量や輸出量、人権尊重のレベル、内戦による死者数、近隣国との関係、治安の状況など。平和度指数の値が小さいほど平和であるということなので、ここでは値が小さいことを平和度指数が良いと表現することにします。

 各国の平和度指数は2007年から毎年公表されていますが、今年の6月1日に発表された最新のデータによると、今回調査した163の国や地域のうち平和度指数が最も良かった国はアイスランドで、以下、ニュージーランド、ポルトガル、オーストリア、デンマークと続き、日本は10位です。また、この1年で最も順位を落とした国はアメリカで、103位から114位へと11ランク下がりました。もともとアメリカは、軍事費や軍事力が突出しているために、それだけで指数がかなり悪くなりますが、さらに新しい大統領の影響で悪化したようです。強大な軍事力による戦争の抑止や自国中心主義は、平和の実現を遠ざける要因であると、平和度指数は主張しているということです。
 日本の国別ランキングは、6年前に3位だったのが、その後5位、6位、8位、8位、9位、10位と、徐々に落ちています。順位は下がっても平和度指数は良くなるケースもありますが、この4年は指数も悪化しています。この数年の政治の動きを見ていると頷けるようにも思います。

 この世界平和度指数は、学者や専門家が研究を重ね、それなりの根拠を持って示しているものなので、この指数とその国の平和の実現とは、ある程度の相関関係はあるのでしょう。だから、平和度指数を少しでも良くしていこうという平和に対する取り組みは意味があることだし、それを期待して、多くの研究者が平和度指数に関わってきたのでしょう。実際に今回発表された世界全体の指数は、昨年より少し良くなっているそうです。
 ただし一方で、指数の悪い国から順にあげると、シリア、アフガニスタン、イラク、南スーダン、イエメンと続きます。かつては平和な時代もあったこれらの国々は、今は多くの国の平和度指数の向上の犠牲になっている面もあるかもしれない。そういった「平和度格差」についても、これからは、もっと学ばなければならないでしょう。このように、世界平和度指数は大切なことを色々と考えさせる数字だと思います。