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クラブ等活動報告

地球科学研究部(同好会)夏季和歌山巡検

7/22~7/24にかけて、2泊3日で和歌山県へ巡検(フィールドワーク)に行きました。

これまで、安佐南区の豪雨伝承館(2024年1月)、福岡県小倉市のいのちのたび博物館とスペースラボ(2024年3月)、元宇品フィールドワーク(2025年3月)と様々な巡検をしてきましたが、宿泊を伴う遠方への巡検は今回が初めてでした。

様々な候補地の中から、複数回の会議を経て巡検先が決まりました。


和歌山県の地質について

大きく分けて3種類の地質帯(付加体前弧海盆堆積体火成岩体)があります。まず、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むことで、海洋プレート上の堆積物が陸地に付け加えられて形成された付加体により土台が作られました(7000万年前~2000万年前)。その後、隆起し浅くなった付加体のくぼみに土砂が堆積しました。これを前弧海盆堆積体といいます(1800万年前~1500万年前)。そして、火山活動が起きて火成岩体が形成されました(1500万年前~1400万年前)。


1日目 広島→白浜市

広島駅から新大阪駅までは新幹線、新大阪駅から白浜駅までは特急くろしおに乗りました。

白浜地域では、三段壁、サドンロック、千畳敷を観察しました。

  • 三段壁:厚い砂岩層(前弧海盆堆積体)が波で浸食されてできた地形(海食崖)。高さ約50m。
  • サドンロック:三段壁付近にある、2018 年の台風第 21 号の日本列島直撃後、崖の上に突然(sudden)出現した巨岩(rock)。
  • 千畳敷:新第三期(約2300万年前~約258万年前)に浅い海底に堆積した、泥、砂、礫が固まった地層。浅い海であった証拠として、リップルマーク(漣痕)という堆積構造や生痕化石がみられます。

普段瀬戸内海を見慣れているせいか、水平線がどこまでも続いているような太平洋の広さと青さに心を打たれ、見入っていました。


2日目 すさみ町

すさみ町には「フェニックス褶曲」という巨大な褶曲(地層が力を受けて湾曲した地形)があります。この褶曲は海沿いにあり満ち引きの影響を受けること・足場が結構不安定であることから、ガイドさん(事前予約制)が必要です。

周参見駅前には、津波のさい緊急的に一時避難するための「津波避難タワー」が設置されています。すさみ町は昭和21年12月に発生した昭和南海地震にともなう津波の来襲により大きな被害を受けました。平成22年に建設され、平成27年にさらに新規建設されました。

フェニックス褶曲の写真です。

巨大な褶曲です。スケール感を示すために、人間が近くにいる写真も掲載します。

褶曲を実際に見たのが全員初めてであったということと、あまりのダイナミックさに一同感動していました。

褶曲付近では、様々な堆積構造もみられました。

どこを見渡してもスケールが大きいです。

ガイドさん及びすさみ町観光協会(https://susami-kanko.com)の皆様には大変お世話になりました。すさみ町について無知な私たちに本当に親切にしていただきました。ありがとうございました。


3日目 友ヶ島→広島

最終日は、和歌山県内にある離島・友ヶ島に立ち寄ってから帰広しました。このあたりには、泥岩と砂岩の互層(交互に積み重なってできた地層)である和泉層群があります。

この島には、日清戦争から日露戦争にかけて、旧日本軍が造った砲台の跡が多くあります。

ちなみに、友ヶ島には東経135°の日本標準時子午線が通っています。


3日間ずっと天候に恵まれ、非常に暑かったですが、授業や書籍で学んだ様々な地学の事象を実際に目で見て・触れることができ、有意義な巡検となりました。