コンテンツにスキップ

講話

1学期始業式

おはようございます。4月から校長になった三好です。
 広島学院のために一生懸命にやりますので、よろしくお願いします。

 今日は、55期生の高校入学式を兼ねています。式としては、極めて簡素なものでしたが、中学を卒業して高校生になるというのは、大きな意味のあることです。このことについて、3学期の終わりに前廣先生が話されましたので繰り返しませんが、高校生になったということをしっかりと自覚してもらいたいと思います。

 そして、新中1、58期生の195名は、土曜日に入学式があり、広島学院のメンバーに仲間入りしました。中2と中3は入学式に与りましたが、高校生とは今日が初めてになりますので、みんなで新入生を歓迎しましょう。
 全員起立してください。中1は先輩の方を、中2以上は中1の方を向いてください。中1はよろしくお願いしますと言う気持ちで礼をし、上級生は歓迎の気持ちで拍手をしましょう。
 中1は先輩に、色々なことをしっかりと習ってください。上級生は、先輩として恥ずかしいことのないように、さすがと言われるような存在であってほしいと思います。

 さて、今日から2013年度が始まります。校長が代わりましたが、だからと言って学校が今までと大きく変わるということはありません。今まで広島学院が大切にしてきたことを、これからも大切にしていきたいと思いますが、広島学院は何を大切にしてきたのか、新年度が始まるに当たって、そのことを少し考えてみたいと思います。

 広島学院はみんなもよく知っているように、イエズス会が創立した学校です。イエズス会の学校は ”be men for others, with others” を目標にしています。中1にはわからないかもしれませんが「他者のために他者とともに生きる人間になりなさい」ということです。この言葉そのものは、20年くらい前から広島学院でも使われるようになりましたが、創立当初はどんな言葉が使われていたのか、少し調べてみました。

 広島学院の初代校長であるシュワイツェル先生という名前をみんなは知っているでしょうか。東門のそばに、記念碑も建っています。広島学院の4つの宝を定めた先生ですが、その話はまた別の機会にしようと思います。この初代校長が生徒に伝えた言葉が、当時の記録に残されています。それによると、シュワイツェル先生は生徒に「良いリーダーでありなさい」と言われたそうです。そして「良いリーダーとは人に仕えられる者ではなく、人に仕える者です」と先生の言葉は続きます。自分のためにみんなに働いてもらうようなそんなリーダーではなく、みんなのために自分から率先して働くようなリーダーになりなさいという教えです。

 今の広島学院では、リーダーという言葉はあまり使わないかもしれませんが、実際には、君たちは将来、積極的にリーダーの役目を果たさなければならない場面がたくさんあると思います。その時に、仕えられるリーダーではなく、人に仕えるリーダーになりなさいというのは、 ”be men for others, with others” とまったく同じ意味です。創立期に掲げられた目標が、60年近くたった今もずっと受け継がれているのです。

 近いうちにみんなに「生活のしおり」という冊子が配られます。この目標に近づくためのしおりです。その中に、「生徒は自己の研鑽・修養に励むとともに、与えられた豊かな才能を伸ばす使命を担っている。」という文章があります。「研鑽」とは学問などを深く究めること、「修養」とは心を磨き優れた人格形成につとめることです。このあとの文章も続けて読むと、「生徒は自己の研鑽・修養に励むとともに、与えられた豊かな才能を伸ばす使命を担っている。自己の能力を最大限に伸ばす努力を通じて、広島学院の生徒は、他者のために大いなる働きのできる人間に成長しなければならない。」とあります。こんな言葉を投げかけられて、君達はどう感じますか。そんなのは無理だとか、ありえないとか、自分とは関係ないといった否定的な気持ちを持つとすれば、すごく残念です。私は、広島学院の生徒として、こういう言葉を投げかけられていることを誇りに感じてほしいと思っています。誇りをもってこの挑戦に応じることが、創立以来、広島学院の生徒に求められていることであり、イエズス会の学校がずっと求めていることです。

 広島学院が大切にしてきたこと、そしてこれからも大切にしたいことは、一言で言えば、「この目標はただの言葉だけで終わるものではなく、しっかりと実現させなければならない」という、前向きな、そして希望のあふれた気持ちだと私は思います。