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講話

5月27日 朝礼

おはようございます。
 今日は、学力という言葉について話します。

 学力とは、一般には、テストの点数や偏差値のような数値で測るもののことを言いますが、2年前の文化祭に講師として来られた内田樹先生は、そうではなくて、学力とは、その字の通り「学ぶ力」のこと、すなわち、学ぶということに対してどれくらい夢中になれるか、その強さを表すもののことであると、ある本に書いておられます。

 学ぶというのは、「もっと知りたい」とか「なぜだろう」と思って、それについて勉強をする。そして、「なるほど、わかった」という瞬間を迎える。この「もっと知りたい」から始まって「わかった」というまでが、本来の学びです。
 しかし「もっと知りたい」というようには思わない。だから「わかった」という瞬間を迎えるまで努力を続けることもしない。その間にある勉強の部分だけを、先生にやれと言われたから、試験があるから、仕方なく適当にやっているという生徒が、みんなの中にもいます。そういう生徒は、学ぶ力が弱いということです。

 学ぶことに夢中になるためには、「もっと知りたい」とか「なぜだろう」というような、学びたいという気持ちが必要です。だけど、たとえば、この科目は興味がないから、楽しくなさそうだから、学びたいという気持ちにはならないと言うかもしれません。でも、物は試しと言うように、外から眺めているだけでは、楽しさはわかりません。実際にやってみて、はじめて楽しさはわかるものです。だから、少しでも興味を感じるようになるためには、はじめはつまらないと思っても我慢して勉強を続けてみるという努力が、どうしても必要です。

 できるだけ楽をして学びたい、いやなことはやりたくないと思っている人には、何もいい話はありませんが、「楽しくないからから、興味がないから、やらない」というのではなく、「やれば楽しくなる、興味が出てくるものだ」というように意識を変えないと、学ぶ力はつかないでしょう。53期の人は多分わかってくれると思うけど、高3になってかなり勉強をするようになると、多くの生徒は、学ぶことの楽しさを感じるようになったと言います。

 中間試験が終わってちょっと一休みと思っているかもしれませんが、こんな時こそ、学ぶことにもっと夢中にならないと、世間一般に言う学力は付きません。そのために、「楽しくないからやらない」というのではなく、「やれば楽しくなる」というように、意識を変えないといけない人が、この中にも、たくさんいるのではないか。
 生徒一人ひとりの問題というよりも、そのクラス全体で、学ぶことにもう少し夢中になるような雰囲気を作っていかなければならないと思います。