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講話

2学期終業式

今日で2学期が終わります。
 体育祭と文化祭は、どちらも高2を中心としてよく準備をし、お客さんも喜んでくださるいいものになりました。またクラブ活動でも、頑張って県の大会を勝ち上がって、上の大会に進んだ運動部や文化部がいくつかありました。先日あった「科学の甲子園ジュニア」では、学院中学チームは全国6位という立派な成績を収めました。そして昨日、中3は寒い中、街頭募金に立ちました。そのほか、色々な活動に一生懸命に取り組む生徒の姿をたくさん見ることのできた2学期でした。
 中3の募金は明日もまだあります。25日には高1の八幡学園の子どもたちとのクリスマス会もあります。最後までしっかりとやってください。

 さて、2016年がもうすぐ終わります。国内では、オバマ大統領の広島訪問やリオ五輪での日本選手の活躍、大隅良典博士のノーベル賞受賞など、明るい話題もありましたが、凄惨な事件や悲惨な事故、熊本地震などの大きな災害もたくさん起こりました。世界に目を向けても、テロは頻発し、政治的にも、予期せぬ出来事や不穏な動きがあちこちで見られ、先の見通せない不安をいつも以上に感じた1年だったように思います。
 そんな今年の新語・流行語大賞は「神ってる」、世相を表す漢字は「金」が選ばれましたが、今年世界で注目を集めた単語として、”post-truth” をイギリスのオックスフォード英語辞書が選んだというニュースが、1ヶ月ほど前、新聞の片隅に載っていました。これからの時代を最もよく表す言葉の1つになるかもしれないということなので、そんな時代にはなってほしくないという思いで、この言葉について少し考えてみたいと思います。

 直訳すれば「真実の後の」ということになりますが、オックスフォード辞書によると「客観的な事実よりも、主観的・感情的な訴えかけの方が、世論の形成に大きく影響する状況を示す形容詞」だそうです。「いまや事実かどうかなんてことはどうでもよく、共感できればそれが真実として広がる時代になってしまった」というような意味合いが含まれているようです。
 今年この言葉が頻繁に使われたのは、イギリスのEU離脱を問う国民投票と、アメリカの大統領選挙でした。どちらもかなり接戦になるとは思われたものの、実績のあるジャーナリストや専門家の多くが、客観的な事実に基づくデータを示し、EU残留やクリントン候補の勝利を予想したが、そうはならなかった。それは、有権者の情報源として、テレビや新聞に代わって台頭してきたFacebookやTwitter等、ネット上で様々な人と情報のやり取りができるソーシャルメディアの影響が大きかったからだと言われています。
 実際にどの程度影響したのかは分かりませんが、一般的な話として、ソーシャルメディアは誤った情報が流れやすい。だけど、多くの人の目に触れることで内容が検証され、より信頼できるものに集約されていく側面もあるとされていました。しかし、現実には、いつの間にか事実が誇張、脚色されたものや、捏造された情報がたくさん流れています。一方で、目に触れた情報が気に入れば、事実であるかどうか関係なく感情的に受け入れて、仲間に広める人が結構いる。そうやって共有する人が多くなると、多いということが「真実性の根拠」になってさらに広がっていく。こんな時代を「post-truthの時代」というのだそうです。
 誰でも喜びや悲しみ、怒りといった感情が、行動の動機になりますが、事実を蔑ろにするわけにはいかない。実際に私たちも、事実に対する関心が薄いこともあるかもしれません。事実をよく見て、真実を真摯に求める態度を持たないと、間違った方向に進んでしまう、その恐ろしさをpost-truthは訴えているように思います。

 最後になりますが、もうすぐクリスマスです。キリスト教とはあまり関係のない世界では、クリスマスは、プレゼントやケーキ、ご馳走といったイメージが強いかもしれません。しかし、そんな中でも、本当の喜びは、プレゼントを貰うのではなくあげることにあり、御馳走をみんなのために準備することにあり、そして、そうやって人と人とが心を通じ合わせることにある、これがクリスマスのメッセージです。私たちもそんな心の温まるクリスマスを過ごすことができればと思います。

 24日3時からカト研主催のクリスマス会があり、その後5時30分頃からキャンドルサービス、そしてクリスマスのミサがあります。 
 また、明日の2時からエリザベト音大のホールで、「広島学院・ノートルダム清心・エリザベト音楽大学の広島のカトリック校3校によるクリスマスの集い」があります。
 家族や友達を誘って、皆さんで来てください。

 そして、クリスマスが終わったらすぐにお正月です。
 新しい年がみんなにとってもいい年になるよう、祈っています。