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講話

1学期終業式

この度の西日本を襲った記録的な豪雨により、220人を超える方々がお亡くなりになり、未だに十数人の方の安否が分からなくなっています。この大きな災害の犠牲になられた方々の無念を思い、ご冥福を祈って黙祷を捧げたいと思います。

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 今回の災害では、みんなの中にも、家に大量の泥が上がったり避難生活を余儀なくされたりしたご家庭があります。知り合いや近所の方が犠牲になられたという人もいるでしょう。長期間にわたる交通網の遮断や断水などで、不便な生活を強いられているご家庭もたくさんあると思います。そんな状況の中で、授業や期末試験、終業式などをどうするか、学校としても難しい問題でしたが、今日まで変則的な形で実施してきました。この間、大変な思いをして通学した生徒、どうしても登校できなかった生徒もいました。こういった学校の活動を、全ての生徒の意を汲んだ形では実施できませんでしたが、その点はご容赦願いたいと思います。
 また、中1、中2のキャンプは中止になりました。キャンプ場には被害がなく、今の天候ならば安全にキャンプはできる状況ですが、参加が難しい生徒がいるでしょうし、交通事情等も考えて、今回は中止にしました。キャンプの先発隊にも、高1の多くの生徒が参加を希望してくれていたと聞いています。ありがたいことですが、今回は必要なくなりました。その代わりにというわけではありませんが、先発隊の生徒も他の生徒も、体力にある程度自信のある人は、被災地にボランティアに行くことを考えてもらいたいと思います。ただし参加するからには、それなりの覚悟を持ち、しっかりと準備をして行かないと、かえって迷惑になってしまいます。また、現地に入る交通手段の確保が難しいとも聞きます。ボランティアについては、この後、横山先生に話をしてもらいます。

 さて、予定より2日遅れて1学期が終わります。今学期は今回の豪雨災害以外にも、悲しいことや辛いことがいくつかありました。今日はそれらについて話をすることは控えたいと思いますが、みんなも1学期の色々な出来事を思い出しながら、合わせて今学期の自分自身についても、よく振り返ってもらいたい。
 この「自分を振り返る」ということに関して「脚下照顧」という言葉があります。授業で習う言葉かもしれません。「足元を照らしてよく顧みなさい」という意味の言葉です。足元は自分を支える重要な部分で、足元がぐらついているようでは、安心して立っていられないし、思う方向には進めません。自分自身を振り返るとは、その足元をよく見るということで、自分は何をしたか、何をしなかったかということだけでなく、そのときの心のありようを顧みるということでしょう。正しい方向に進んでいればいいけど、本当に進むべき方向が分かっているのか、分かっていても逃げてはいないか、人のことが気になったり一歩を踏み出す元気が出なかったりして、ふらふらしていないか、そういう自分の状態を思い起こしてよく考えてみることが、自分を振り返るということだと思います。
 お寺などの玄関に、この「脚下照顧」と書かれた札が掛けられていることがあります。「履物をきれいに揃えて脱ぎましょう」というような意味です。自分の履物をきちんと揃える、また人の履物もそっと揃えておく、そんな行動から自分の足元を見る心の余裕が生まれるということを教えているのだそうです。みんなも履物をそろえることを心掛けてみてはどうでしょうか。

 最後にあらためて紹介しておきますが、夏休みにテニス部は、三重県で開かれるインターハイに広島県代表として出場します。また、囲碁部の高2のN君は、長野県で行われる全国高校総合文化祭に広島県代表で出場します。ともに、悔いのないよう最後まで精いっぱい戦ってきてください。他のみんなも、まずはしっかりと勉強し、さらに部活、色々な研修や奉仕活動、プライベートも含めて、夏休みならではの経験を積んでもらいたい。そして自分自身を振り返る時間も持ってください。一段と成長する夏になればと思います。
 では9月1日の始業式に、全員が元気に顔を合わせることができるよう、事故なく健康に気をつけていい夏休みを過ごしてください。