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講話

2学期始業式

おはようございます。
 今日は、中学も高校もクラブの試合のために公認欠席の生徒がたくさんいて、この場も少し空席が目立っていますが、2学期が始まります。いつまでも休み気分を引きずることのないよう、しっかりと気持ちを切り替えてください。

 7月の初め、西日本は、地域によっては100年に一度とも200年に一度とも言われる記録的な豪雨に襲われました。あれから2カ月近くが経ちましたが、土砂の撤去が進まず日常生活に戻ることのできない方が、たくさんいらっしゃいます。JRもまだ不通区間があり、みんなの中には登下校がかなり不便だという生徒もいると思います。この近辺の山陽本線と呉線の不通区間は9月8日に開通する予定だということなので、昨日メール連絡網でも知らせたように、来週は始業を30分遅らせて9時に朝礼をし、授業を45分に短縮することにします。

 この7月初めの豪雨の後、今年の夏はずっと酷暑が続きました。江波山気象館の記録によると、広島市では、いわゆる猛暑日、最高気温が35度以上の日が、昨日まで28日ありました。去年までの10年間を調べると、猛暑日は平均して年間9日ということだったので、今年が如何に暑いかがよく分かります。因みにその30年前の10年間を調べてみると、猛暑日は10年間で2日しかありませんでした。
 その当時、この学校にはエアコンは無かったけど、夏休みに勉強をしに来た生徒は、廊下に机を出して黙々と頑張っていました。30年ぐらい前まではずっと、暑いといってもこんな程度で、近年の暑さは30年前とはかなり違います。また、この夏は台風が多く発生し、中には見たことも無いコースを辿るものもあったし、凄まじいゲリラ豪雨や雷に見舞われた地域もあります。海外でも、とんでもない異常気象と言うべき現象がたくさん起こっているようです。人間の日々の営みによる環境の変化が、大きな原因になっているのでしょう。このままだと30年後はどんな気候になるのか、私たちはそのことに無関心でいてはいけない。深刻な問題です。

 さて、今日は新学期を迎えるにあたって、あらためてマジスについて話しておきたいと思います。今朝の始業ミサでも話があったし、私も今まで何度か話しましたが、マジスとは「今、これから何をするべきか」というときに、よりよいことを選んで実行していこうとする態度のことです。その「よりよいもの」とは、人と比べて優れていれば満足だとか、ある基準を超えればそれでいいというのではない。マジスは、そういった他との比較に惑わされず、より高いところを目指して、自分に与えられた能力を伸ばし、活用していこうという心意気を表します。
 このマジスは、イエズス会の創立者であるイグナチオ・デ・ロヨラが大切にした言葉です。イグナチオにとっては、イエス・キリストにより一層徹底的に従って生きていこうとすることが、マジスでした。そういう生き方の中に本当の喜びや生きる意味を見出すことができるという、イグナチオ自身の深い信仰体験に基づく言葉です。
 そう言われると、マジスは自分にとっては何か縁遠い言葉だと感じる人もいるかもしれません。だけど私たちにとってマジスは、別に信仰が問われているわけではない。大切なことは、単によいものを選ぶとか高いところを目指すというのではなく、もっとよいものを選ぶ、より一層高いところを目指すという、この「もっと」とか「より一層」にこだわるということです。そしてそれは、自分自身の物質的な豊かさや地位、名誉などの獲得のためではなく、men for others の実践のためにということです。イグナチオがそうであったように、私たちも、そういう生き方の中に、本当の喜びや生きる意味を見出すことができると、イエズス会の教育は教えています。
 私たちは、それなりに頑張っていてもちょっとしたことで「これ以上は無理だ」と諦めたり、「ほどほどのところでいい」と妥協したり、「辛いことは嫌だ」と逃げてしまうことがあります。それがいつも当たり前のことになってしまっては、生き方として物足りないし勿体ない。そこを乗り越え、現状に満足せずに、より高い目的を目指して常に刷新していこうというダイナミックな生き方が、マジスです。このマジスが、私たちそれぞれのライフスタイルになることを、イエズス会学校で学ぶ者は期待されています。

 2学期は体育祭や文化祭といった大きな学校行事があります。勉強やクラブ、委員会活動はもちろん、こういった学校行事、さらに日々の当番の仕事まで、マジスの精神で臨むことを目標としてもらいたい。みんなでマジスを追求してもらいたいと思います。