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講話

11月18日 朝礼

おはようございます。
 この週末に、フランシスコ教皇が来日され、日曜日には広島にも来られます。本校ではそのための特別行事として、今週の金曜日を40分の4時間授業にして、昼食後アルペ講堂で、森先生による講話、そして映画「ローマ法王になる日まで」の鑑賞を予定しています。
 日本にローマ教皇が来られるのは、今回が2度目です。前回は40年近く前、ヨハネ・パウロ2世が来日し、広島にも来られました。2月の寒い日でしたが、平和公園での歓迎行事には全校生徒が参加しました。今回も平和公園で「平和のための集い」があります。カトリック学校からも参加者を募るということだったので、みんなに呼び掛けたところ、生徒や保護者、教職員合わせて200名近くが参加を申し込んでくれました。ところがその後、各校の参加者は10名までとの連絡があったので先日抽選をして10名を決めました。抽選に外れた190人には申し訳なく思いますが、警備上の問題で参加者数が厳しく制限されているようです。平和公園に行く人も行かない人も、教皇が発信されるメッセージをしっかりと聞いてください。

 話は変わって、フランシスコ教皇はこれまで、様々な社会問題に関するメッセージを世界に向けて発信されてきました。中でも環境問題について、深い関心を寄せられています。その環境問題に関わることですが、アメリカが、パリ協定からの脱退を国連に対して正式に通告したというニュースが、ちょうど2週間前に報道されました。

 異なる説を唱える学者もいますが、多くの専門家によれば、今、地球の温暖化が急速に進んでいます。地球規模で見ると、温暖化は水資源の分布を大きく変え、乾燥地帯ではさらに干ばつが進み、水不足が深刻になっています。また海水が、本来は大気に留まる熱のかなりの部分を吸収していて、破壊的な低気圧を生み、異常気象の大きな原因となっています。日本でも大災害が発生していますが、こうした干ばつや洪水、台風などの被害は、特に途上国に集中し、農作物の収穫の減少や感染症の拡大などにより、貧困はますます深刻化し、内戦やテロの危機も大きくなっています。
 その温暖化の解決は、今後経済活動によって排出される二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの量を、どれだけ減らすことができるかにかかってきます。調べてみると、地球の大気中の二酸化炭素の濃度は、過去1万年、285ppmで均衡を保っていたのが、産業革命のあった200年ほど前から増え始め、50年前が315ppm、そして今、400ppmを超える時代に突入するのだそうです。1万年変化しなかったものがこの数十年で急激に増えているということですが、400ppmは0.04%ということで、微々たるもののようにも思ってしまいます。だけど生命体が存在するためには、あらゆる面でそういった微妙なバランスが大切だということです。
 大気に国境はなく、二酸化炭素の排出量の削減にはまさにグローバルな取り組みが必要で、そのための枠組みを決めたのが、2015年に採択されたパリ協定です。トランプ大統領は地球温暖化に対する懐疑論者だそうですが、生態系の健やかさよりも、経済的な損得が判断基準になっているということでしょう。フランシスコ教皇も、こういった環境問題の主な原因は、大量生産・大量消費・大量廃棄の悪循環を生む、技術至上主義や効率主義、消費主義にあると指摘しています。

 環境問題への取り組みの基本として、think globally, act locally(地球規模で考え、足元から行動せよ)という言葉を聞いたことがあります。世界の現状を知って、このままでは将来どうなってしまうかを、地球規模で考えなさい。そして自分の身の回りでできることは何かを探し、足元から行動しなさいということです。
 私たちも、個人として、また学校として、think globally, act locallyの実践を目指したい。ただ、エコロジーというと、自然や環境を守るために不便や不快を我慢したり、今の生活を否定したりしなければならないというイメージがあるかもしれません。だけど、ただ我慢するということではなく、豊かさとは何かを問い直し、物を大切にしたり人と分かち合ったりする環境に優しいライフスタイルに豊かさを感じ取るということが、大切なのだろうと思います。
 とにかく、私たちもthink globally, act locallyを実践しないといけない。誰もいない教室の電灯やエアコンがつけっぱなしになっていることがよくあります。小さいことでもできることからやっていきましょう。