講話

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1015全校朝礼「ごらんよ空の鳥」

 先週土曜日の高1保護者会のとき、アルペホールの入り口には、高1が体育祭で製作した4つのオブジェが展示されていました。体育祭当日は、間近で鑑賞できなかった保護者の皆様への学年の先生方のご配慮でした。
 私も改めて、4つのオブジェをじっくり味わって鑑賞しました。すると、雨の体育祭当日にも鑑賞していたはずなのに、今になって気づくことがたくさんありました。A組「男梅」の細かいしわ、一つ一つの筋肉がごつごつしていて、まるで血が通っているような表現、B組「ミャクミャク」の今にも起き上がってきそうな表情、バランスのとり方…すべての作品について、今朝はここでコメントする時間はありませんが、いずれも本当に見事な作品。近づいて、時間をかけてじっくり見てみると、作った高校生たちの思いが伝わってきて、なんとも言えないあたたかい気持ちになりました。
 この作品を作った高校生たちは、何日も、あるいは何か月もかけて、クラス・下級生の笑顔を思い浮かべながら、ひっそりと、誰に見せびらかすこともなく、心を込めて作り続けてきたんだろうなと思います。体育祭当日、私なりにこれらの作品を鑑賞していたつもりでしたが、今になって思うと、私はあのとき「足を止めて味わう」ことを少し忘れていたのかもしれません。

 秋になって、ようやく空気が落ち着いてきました。こういう時期だからこそ、一歩、足を止めてみることの大切さをこの4つのオブジェは気付かせてくれます。目の前の景色をゆっくり味わうと、普段見落としていた誰かの思いや優しさに気づくことがあることをしみじみと感じています。

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 今月は毎朝、祈りの集いが行われます。「ごらんよ空の鳥♪野の白百合を♪」。これは、祈りの集いや本校の行事でよく歌われる聖歌ですね。この歌のもとになった聖書の言葉に、こんな一節があります。
「空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。」(マタイ6:26)
 あわただしい日々の中でも、「空を見上げ、今ここにあるものを味わう」…そんな時間を持ちなさい、という優しい呼びかけをこの季節はしてくれているように思います。

 試験前はどうしても、目の前のことだけに集中しがちです。でも、そんなときこそ、ご家族の支えや友達の笑顔、先生の陰からのサポートにも、少しだけ目を向けてみてください。それがきっと、皆さんの心を落ち着け、勉強にも不思議と良い力を与えてくれるはずです。

 今週も、あわてず、焦らず。空の鳥を見上げて、心を少しだけ柔らかくして、歩んでいきましょう。