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講話

3学期始業式

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 予定より4日遅れて3学期が始まります。出鼻を挫かれたような感じですが、いつまでも正月気分でいることのないよう、いいスタートを切ってもらいたい。今年の干支の牛は、労働力として黙々と農作業や物の運搬をするその姿が「勤勉さ」や「誠実さ」を感じさせると言われています。今年もコロナ禍で大変なことが色々とあるでしょうが、牛に象徴されるように、一歩一歩地道に確実にことを進めていくことができればと思います。

 新型コロナウイルス感染症については、全国的に感染拡大が止まらず、広島県でもかなり深刻な状況が続いています。1か月ほど前に、本校の卒業生で広島大学医学部の救急集中治療医学がご専門の先生に、コロナ感染についてお話を伺う機会がありました。主な感染源は口から出る飛沫で、複数の人と会食をしたりマスクを着けずに会話をしたりすることが、最も危険であるということ、そしてマスクをきちんと着用していればかなり感染リスクを下げることができるということを、あらためて強調されていました。医療現場の最前線で日々対応に当たっておられるお医者さんの言葉として、しっかりと意識しておかなければなりません。
 もちろんどれだけ用心をしていても、誰でも感染する恐れがあるのも事実です。この感染症を他人事と思ってはいけないし、また決して感染者や濃厚接触者を差別的な目で見てはいけない。その点もいつも意識をしておきたいと思います。

 さて、コロナ感染に関する最近の報道の中に、昨年1年間の化石燃料の消費による二酸化炭素の排出量が、前年を7%下回る見通しだという記事がありました。感染拡大で人や物の動きが世界規模で滞り、工場の操業が一時ストップしたり航空機を中心に交通量が大幅に減少したりするなど、経済活動が縮小したためです。そういえば、4月には「大気汚染が深刻なインドで、数十年ぶりにヒマラヤが見えた」との報道があったし、他にも目に見えて大気汚染が軽減されたという声が世界各地でありました。春先のピーク時には1年前と比べて17%も削減したが、その後経済活動が再開され、1年間で見ると7%削減になるとのことです。
 「パリ協定」をみんなも知っているでしょう。温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動を抑制するための国際的な枠組みで、昨年本格的に始動しました。今言った二酸化炭素の排出量の前年比7%削減を今後10年間続ければ、2030年には排出量を今の半分にするというパリ協定の目標が達成できるそうです。
 もちろん、今のような経済活動の縮小を10年間も続けるというのは、全く現実的なことではありません。近年、化石燃料に頼らない「再生可能エネルギー」の研究や、二酸化炭素を素材や燃料として再利用する「カーボンリサイクル」の研究などが進められています。目標の達成のために、こういった技術革新に大いに期待を寄せると同時に、私たち一人一人も地球温暖化に対する当事者としての自覚を持たないといけない。コロナ感染を他人事と思ってはいけないのと同様です。実際に、コロナ禍で新しい生活様式への転換が言われる中、コロナ対策としてだけでなく温暖化対策としても、余分なエネルギーを使わない環境に優しい生活に替えていくチャンスだという受け止め方が世界で広がっているそうです。

 私たちは「コロナ対策」とか「温暖化対策」と聞くと「我慢」というイメージを持ってしまうかもしれません。我慢ももちろん必要でしょうが、それよりも豊かさの尺度を変えることが大切だとある人の言葉にありました。この「豊かさの尺度を変える」という言葉に、新しい生活様式に対する大きなヒントがあるように私は感じます。
 私たちが求めたい豊かさとは何かということを、今のような困難な状況にあるときこそ、よく考えてみないといけない。そして「禍転じて福となす」という言葉の通り、コロナ禍という禍に対して環境を守るという福をもたらす、そんな生活をこの1年目指していくことができればと思います。

 最後にHPでも既に知らせていますが、今学期の行事予定の一部変更を伝えておきます。
 今年は1月24日(日)が本校の中学入試になりますが、その前の3日間はコロナ対策のため家庭学習日とします。この3日間は、課題や授業をオンラインで配信する予定です。入試後の25日(月)26日(火)も家庭学習日、30日(土)は振替休日になります。
 また2月9日に予定されていたマラソン大会は中止とし、この日は平常の授業日になります。

 以上です。みんなで、いい3学期にしていきましょう。