【中学卒業生(68期生)へ向けて】
68期生の皆さん、中学校卒業おめでとう。義務教育を終え、4月からは高等学校という新たなステージに進みます。先日の生徒会選挙では、68期生から非常に多くの立候補者が名乗りを上げ、活発な選挙戦が展開されました。「自らの思いを、より良い学校生活のために役立てたい」という皆さんの主体的な姿勢は、とても頼もしく映りました。その志を、高校生活でも大切にして下さい。
【全校生徒へ向けて】
さて、全校生徒の皆さん、今日で2025年度が締めくくられます。勉学にせよ、課外活動にせよ、満足のいく結果を出せた人もいれば、悔しさが残っている人もいるでしょう。成功ばかりの一年だったという人は、おそらく一人もいないはずです。むしろ、思い通りにいかなかったこと、失敗したこと、挫折感を味わったことの方が多いかもしれません。
かくいう私自身も、この校長1年目の今年は、試行錯誤の連続でした。隣に座る副校長の三谷先生から、学校運営上の問題点を日々、ご指摘いただいたり、時には法人理事長から「しっかりしなさい」と激励を受ける場面もありました。見ての通り、校長という立場であっても、校長という立場になっても、相変わらず、失敗続きだし、日々力のなさを味わっています。
しかし、転んだ時に、どう立ち上がるか。自分の非をどう認め、そこから何を得て、次の一歩をどう踏み出すか。そのプロセスの中にこそ、人間としての品格が表れる、と私は考えています。
世界に目を向けたとき、私たちの想像を絶するような「大きな失望・挫折」や「やりきれない現実」と向き合っている人々がいます。
長引くウクライナ情勢、混乱の続くガザ地区、緊迫するイスラエル、アメリカとイランの関係。こうした地域では、ある日突然、日常が壊され、人生の計画が根底から覆されるような事態が続いています。これは単なる遠い国のニュースではなく、エネルギー問題や物価高騰として、私たちの生活にも繋がっている現実です。
しかし、その混迷の中でも「一歩前へ」出ようとする人々がいます。
・侵略が開始されて3年以上も経ちますが、ウクライナでは、ある地下鉄の駅で教員と生徒が授業を続けていて、今日も自分たちにできる学びを進めています。
・ガザ地区では、多くの学校が避難所となり、本来の授業ができない状態が続いています。しかし、そんな中でも、テントの下や瓦礫のそばで、年下の子どもたちに勉強を教えたり、ボロボロになった教科書を必死に読み返す少年たちの姿が報じられています。
・東日本大震災から15年が経ちました。気仙沼でおばあちゃんからバトンをつないで、防災ガイドを始めた高校2年生のことが、先週、NHKで特集されていました。
彼らは、見通しのきかない暗闇の中でも、明日への一歩を諦めていません。
頑張っても報われない世の中だからこそ、未来が見通しにくい時代だからこそ、本校で学ぶ私たちには、単に知識を蓄えるだけでなく、それを「何のために使うか」というミッションを常に問われています。
マタイによる福音書第5章には、次の言葉があります。
「あなたがたは世の光である。……そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。」
世界が混迷という暗闇に包まれているからこそ、皆さんの存在そのものが「光」でなければなりません。挫折を知るからこそ、他者の痛みに寄り添う光になれる、そのように私は思います。皆さんがこの1年で磨いた知性を、自分のためだけではなく、誰かのために、そして平和のために輝かせること。それこそが、広島学院で学ぶ皆さんに託された使命です。
新校舎建築にあたり、掲げたスローガンは、「FORWARD AGAIN ― もう一度、前へ」。年度の終わりの今日、この一年を静かに振り返り、新しい学年に向けて、新たな光を放つ準備を整えて下さい。新学期にまた元気に会いましょう。