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講話

6月30日 朝礼

おはようございます。
 6月も今日で最後になります。6月は、みんなにとってはこれといった学校行事もあまりなく、土曜休日と日曜以外に休日もなく、ずっと授業日が続いています。みんなかなり疲れてきている頃だと思いますが、期末試験まであと1週間ということで、マジスの精神でもうひと踏ん張りを期待したいと思います。今日から2週間ほど、学校の中が勉強の雰囲気になるように、一人ひとり心がけてください。

 
 さて、先週から、廊下には「想像」という言葉を掲示してもらっています。説明する必要はないでしょうが、想像とは「実際に見たり経験したりしていない事柄を頭の中に思い浮かべること」です。今、ここに立ってみんなの前で話をするとき、みんなの姿は見えています。大体がよく聞いてくれているようには見えますが、実際にどんな思いで聞いているかは見えない。話す言葉が頭に入っているのか、ただ耳に入ってきているだけなのか、どちらの姿を想像するかで話の内容や話の仕方は変わります。私はいつも、聞いている言葉を頭に入れているみんなの姿を想像しながら話していますが、時々これでいいのかなと不安になることもあります。

 それはともかく、たとえば2人が同じものを見ていたとして、見えているのは現実に起こっている事柄だけです。その背景とかそれが及ぼす影響などは、少なくともその時点では見えない。見ている2人の想像するものが大きく違うと、同じものを見ているようで、実は全く違ったものに見えているということもあるかもしれません。そして、想像力が豊かだと、現実に体験していなくても、想像力を働かせることで、実体験に近い経験を得ることができます。思想家の内田樹さんの言葉を引用すると、
「想像と現実は、位相が違うのかそれとも地続きなのかと言えば、私は地続きだという考えである。隅々まで克明に細密に想像しえた経験からは、私たちは、現実の経験とほとんど同じだけの経験知を得ることができる。」
「想像力」は、現実を正しく理解するために人間に与えられた大切な能力の1つだと思います。

 特に、私たちの生活は、人と人とのつながりの中にありますが、人は見えてもつながりは見えません。「想像」という高度な心の働きが、人と人とをつないでいます。自分がこんなことを言ったら相手はどう思うか、こんなことをしたら相手はどう感じるか、あるいは、人の喜びとか人の苦しみなど、想像力があれば、それを推し量ることはできるでしょう。人との関係を築く上でコミュニケーション能力が大切だと言われますが、コミュニケーション能力の底辺には、想像力というものが必要条件として大きく存在するのだろうと思います。

 このように、私たちは想像力を豊かにすることよって、より人間らしい生き方ができるだろうし、現実の世界をもっと広げることができるのだろうと思います。その想像力を豊かにするためには、色々なことを経験しながら、その都度時間をかけてでもしっかりと思いを巡らし、考えることをしないといけない。誰かに意見を求めたり、考えを聞いたりすることも大切でしょうが、それをすぐに自分の答えにしてはいけない。自分の頭をしっかりと使いなさい。本を読むとか文化や芸術に触れるとか、そんな時間も持ちたいものです。私は、想像力というのは、想像できるかできないかというよりも、想像しようとするかしないか、その力のことのようにも感じます。みんなのように若いときにその気になれば、本当に想像力は豊かになるものだと思います。

 最初にも言ったように、期末試験まであと1週間となりました。学ぶということについても、想像力が必要です。わからないからと言って理解することをあきらめるのではなく、自分の持っている知識を組み合わせて想像力をあれこれと働かせば、大きなヒントが見えてくるということはよくあります。みんなにありがちなのは、想像力を働かせているうちに全然違う世界のことを考えているということかもしれませんが、それは想像力の問題ではなく集中力の問題でしょう。それはともかく、学びにおいても想像力がほしい。アインシュタインは「想像力は知識よりも大切だ」と言っているそうです。残念ながら想像力だけでは試験を乗り越えることはできませんが、でも勉強に行き詰まりを感じたら、このアインシュタインの言葉を思い出すのもいいかもしれません。

 私たちは、日々の生活の中で、想像するということを大切にしなければならない、そのことを意識するために、しばらくこの言葉を掲げておきたいと思います。