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講話

2学期終業式

今日で2学期が終わりますが、今学期はこの「ペドロ・アルペ記念講堂」が完成し使えるようになったということが、学校にとって大きな出来事でした。始業式で初めてこの講堂を使って以来、色々な学校行事、或いは各学年のHRや授業、また保護者会や学校説明会など、多くの活動に有効に使うことができました。
 長年中2の作業だった「講堂の椅子並べ」がなくなったのは少し残念な気もしますが、この講堂は、今後に向けて様々な可能性を感じさせてくれます。そして、ペドロ・アルペ神父の名前を生徒のみんなが知るようになったということも、学校にとって大きな意味があったと思います。

 さて、実は去年の2学期の終業式は、大雪のために時間が短縮されてほとんど話をすることができなかったので、そのときにするつもりだった話を、今日したいと思います。去年だと、ちょうど100年前のクリスマスイブの話だったのですが、1年経ってしまったので、101年前、第一次世界大戦のさなかに、戦場の何箇所かで起こった「クリスマス休戦」についての話です。後に、映画やCMにもなったようなので、知っている人もいるかと思います。第一次世界大戦が勃発したその年の、クリスマスの出来事です。

 ドイツ軍とイギリス・フランス連合軍との間で激しい戦闘が続いていましたが、クリスマスの日、ドイツ軍の最前線から、世界中でクリスマスに歌われる「きよしこの夜(カトリック聖歌では、しずけき)」の歌声が聞こえてきました。戦場に慰問に来ていた有名なドイツ人のテノール歌手が歌ったという話もあるし、ドイツ兵が塹壕から出てきてクリスマスを祝ってみんなで歌っていたという話もあります。一方、その歌声を聴いた連合軍の兵士は、大きな拍手を送ったとか、一緒にそれぞれの国の言葉で合唱をしたとか、バグパイプで伴奏をしたといった話が伝えられています。
 とにかく、誰もがよく知っているこのクリスマスキャロルの美しく温かい響きに誘われるように、両軍の兵士が塹壕から出てきて、互いに握手を交わし、休戦状態になりました。そして、それぞれ自分達が持っていた菓子やワインなどをプレゼントとして交換して、クリスマスパーティーが始まりました。互いに家族の写真を見せ合ったり一緒にキャロルを歌ったりして、交流を楽しんだそうです。サッカーの試合をして楽しんだという話もあります。
 このようなクリスマス休戦が、実際に何箇所かで自然発生的に生まれたそうです。その中には、停戦状態が1週間以上も続いた所もあったが、大半はクリスマスの1日だけの停戦でした。軍隊の上層部は、兵士たちの勝手な休戦を許すわけがなく、その後は一層激しい戦いになっていったそうです。
 
 せっかく友情が芽生えたのに、結局はまた殺し合いをしなければならなくなったということで、このクリスマス休戦は、空しく悲しい物語だという見方もあります。だけど、わずか1日でも、クリスマスを祝う気持ちが、戦争という人間の最も愚かな行いを止めた、しかも戦いを止めただけでなく、敵と味方が交流して楽しむことができた、そこに私は、クリスマスが伝える福音のメッセージを感じます。
 先週の朝礼で、待降節は希望を持って待つ期間だと話しました。クリスマスは、その希望が実現したことを喜び祝う日です。この兵士たちも、最初握手を交わすのには随分勇気が必要だったでしょうが、クリスマスがそれを可能にしたのかもしれません。その後は、言葉や考え方に違いはあっても、互いに関わり合い分かち合うことで喜びを共にできた、これが本当のクリスマスのお祝いだと思います。
 私たちも、自分のことばかりに目を向けるのではなく、ささやかなことでも人と積極的に関わりを持って喜びを共にする、そんなクリスマスを過ごすことができればと思います。

 24日3時から、このアルペ講堂で、カト研主催のクリスマス会があります。そして5時30分頃から、前庭でキャンドルサービスがあり、その後フランシスコ聖堂でクリスマスのミサがあります。友達や家族も誘って、ぜひ皆さんで来てください。
 また、明日の2時からエリザベト音大のホールで、学院、ノートルダム清心、エリザベト音楽大学の広島のカトリック校3校によるクリスマスの集いがあります。こちらも、皆さんで来てください。
 そして、明日、明後日と、中3の生徒は街頭募金があります。寒い中大変でしょうが、たくさんの方に喜んでいただけるよう、しっかりとやってきてください。

 それでは、みんな、いいクリスマス、いい正月を過ごしてください。
 新しい年がみんなにとって飛躍の年になるよう、祈っています。