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講話

10月4日 朝礼

おはようございます。
 土曜日の体育祭は、閉会式でも言いましたが、悪い条件の中、また色々な複雑な思いがある中、生徒のみんなは、できる限りのことを本当によくやってくれたと思います。おそらく多くの生徒にとって、見に来られた方々にとって、そして教員にとっても、記憶に残る体育祭になりました。その体育祭が終わり、連休も終わり、気持ちを切り替えて新たな1週間が始まります。

 
 今週から廊下には「卓越」という言葉を掲示してもらいます。辞書を調べると「他をはるかに超えて優れていること」とあります。
 
 雑誌などの記事の中に時々「卓越性の追求」という言葉が出てきます。「他の人に負けない、自分にとって強みの持てる分野を探す」といった意味で、そういった強みを社会で役立てることは大切なことです。
 一方、イエズス会教育の中でも「卓越性の追求」という言葉がよく出てきます。こちらの方の「卓越性の追求」とは「優れた人格を育てるために、勉強だけでなく何事においても、より高いところを求めて励んでいく」ということで、「マジス」と同じような意味です。広島学院でも創立以来、伝統的にこの意味での「卓越性の追求」を大切にしています。
 
 高いところを目指すために他の人と競うことも必要かもしれませんが、本当に目標とするのは、他の人を超えることではなく、今までの自分自身を超えることです。仲間と互いに切磋琢磨しながらみんなでより高みを目指そうという雰囲気が、学校には必要です。
 先日の体育祭で、悪い条件の中でも何とかやっていこうと気持ちを高めた、それが卓越性の追求です。そして次は中間試験です。体育祭と文化祭という大きな学校行事の間にあり、モチベーションが上がり難いという人もいるかもしれない。でも、そんな言い訳はせず弱い自分に打ち克って、すべきことをきちんとする、これも卓越性の追及です。中間試験まであと10日、しっかりと準備をしてください。

 さて話は変わって、広島の町はこの1ヶ月、カープ優勝の喜びに溢れていますが、カトリックの世界でもちょうど1ヶ月前に、大きな喜びのニュースがありました。日本でも報道されていましたが、マザー・テレサがカトリック教会の聖人に定められたというニュースです。聖人の列に加えるという意味の「列聖式」が、9月4日にバチカンのサン・ピエトロ広場で執り行われました。
 聖人とは、イエス・キリストの模範に忠実に従い、その教えを完全に実行した人として与えられる称号です。この学校でよく名前が出てくる聖人は、フランシスコ・ザビエルやイグナチオ・デ・ロヨラ、もっと古い時代の聖人ではアシジの聖フランシスコ、もちろんイエスの弟子たちの名前もよく出てきます。マザー・テレサがそういった聖人の仲間入りをされたということです。

 聖人に認定されるためには、その前の段階である「福者」に認定されなければなりません。福者に挙げられるため、また福者から聖人に挙げるために、バチカンによる非常に厳しい調査があり、通常は列聖されるまでに早くてもその人の没後数十年、場合によっては数百年かかることもあるそうですが、マザー・テレサは没後20年足らずで聖人に挙げられました。
 このマザー・テレサを13年前に福者に認定したのが、当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世で、この方も2年前に聖人に挙げられました。ヨハネ・パウロ2世もマザー・テレサも生前には広島を訪れ、世界に向けて平和を訴えられました。広島にとっても、深い関係のある聖人です。
 ちなみに日本人の聖人は、豊臣秀吉によって処刑された日本二十六聖人の中の20人と、徳川家光の時代にやはり長崎で殉教した16人の聖人の中の9人の、合わせて29人だそうです。また、キリシタン弾圧の時代に殉教した日本人のうち188人が福者になっているそうです。そして、キリシタン大名の高山右近が福者に挙げられることが決まり、列福式が来年2月7日に大阪城ホールで行われることになっています。

 広島学院では10月は祈りの月に定められており、ちょうど今日から毎朝、聖堂で祈りの集いがあります。カトリック教会の聖人が何よりも大切にした祈りや沈黙を、私たちも朝のひと時に少しでも体験できればと思います。