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講話

10月23日 朝礼

おはようございます。
 昨日は衆議院の総選挙がありました。この1ヶ月あまりの報道を見ていても、何のために臨時国会の冒頭で解散しなければならないのか、国民に向けた大義がよく分からなかったし、野党の中にも、どれほどの信念を持って行動しているのか、よく分からないところもありました。さらに、昨日は天気が悪かったということもあったのでしょうが、投票率もかなり低調でした。実際にこの選挙結果ほどに今の政治が国民の大きな支持を得ているのかどうか、個人的には違和感を覚えますが、とにかく緊張感を持って正しい政治をしてくれるようお願いしたい、それに尽きます。

 さて2学期もほぼ半分が終わり、文化祭が近づいてきました。今年は「学院祭」ということなので、学院祭まであと10日になりました。
 広島学院の歴史を調べると、体育祭は創立1年目から毎年やっていますが、文化祭は創立7年目、今の中体育館が講堂兼体育館として完成した年の秋に、第1回目がありました。そしてその後も毎年あったわけではなく、次が創立10周年、その次が創立15周年の年にあったようです。この創立15周年の文化祭を学院祭と呼んだという記録が残っています。ですから、おそらく今回は本校では四十数年ぶりの学院祭になるのだと思います。

 この文化祭とか学院祭という行事について学校の立場で少し話しておくと、高校の学習指導要領といって教育課程の基準を定めたものの中に、各教科とは別に「特別活動」としてHR活動と生徒会活動と学校行事が挙げられています。その学校行事の1つに「文化的行事」というのがあって、これが一般に文化祭とか学院祭、学園祭などと呼ばれているものです。
 生徒の平素の学習活動やクラブ活動の成果の発表の場ということですが、ここでいう文化的行事の「文化」とは何か、これがなかなか難しい。「文化」について調べるとそれぞれに色々なことが書かれていますが、簡単に考えれば二つにまとめることができそうです。一つは、学問や芸術、思想、科学といった分野で、優れた知性や感性を発揮した活動によって作り出されるもの。「文化勲章」などというときの「文化」はこちらでしょう。そしてもう一つは、人々の日々の生活の営みから生まれてくる、その社会に共通する行動様式や物の考え方のこと。「異文化交流」などというときの「文化」はこちらでしょう。

 ところで以前にも話したことがありますが、文化や教養は英語では cultureで、「耕す」を意味するラテン語が語源になっています。例えば、野山に生える野生の草花は人間の手がかけられていませんが、そういうものではなく、人間が土地を耕し、種を蒔いて育てるという行為が culture の語源なのだという話を聞きました。自然のままではなく、人間が手をかけて耕したものが文化だということです。
 学校の文化的行事というときの「文化」も、そんな意味合いで考えればいいと私は思います。もちろん、みんなの知性や感性を存分に発揮してレベルの高いものを目指してもらいたいが、内容は今までの文化祭のように、学問や芸術だけでなく娯楽や本校でいう食販なども含めて、幅広く捉えればいい。ただし、楽しければ何でもいいというものではないし、いつもと同じというのでもいけない。想像力と創造力の両方を働かせて、創意工夫を凝らし手をかけてこつこつと仕上げたものが、文化的行事といえるのだと思います。
 それともう一つ、広島学院という小さな社会ではあるけども、そこに今まで60年以上にわたって築き上げられてきた文化があります。広島学院らしさといってもいいでしょう。それがどういうものかは、みんなが自分で考えないといけないが、そういった学院文化を、見に来られたお客さんに充分に感じていただけると、より「学院祭」という名に相応しい行事になると思います。

 いずれにしても、お客さんに、よく耕されているということを感じてもらえるようないい学院祭になるよう、あと10日、しっかりと準備をしましょう。