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講話

11月20日 朝礼

おはようございます。
 今朝はまず、高1の奉仕委員から話があります。

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 さて、一昨日は物故者追悼式がありました。上智大学からも4人の先生や職員の方が参列されましたが、大変厳かな雰囲気で、生徒の態度も立派だったとおっしゃってくださいました。人の死に対しては厳粛な態度で臨むのが、礼儀であり務めです。そういう意味で、多少気になるところもありましたが、全体的にはいい追悼式だったと思います。
 そして追悼式が終わると、2週間ほど後には創立記念日があります。毎年この時期に、広島学院の創立にまつわる話や、創立後に歩んできた道を振り返ることは大切です。その道の続きを、私たちは作っていかなければならないからです。

 そんな意味も込めて少し話をしたいと思います。広島学院の創立の前後に、およそ10年に渡ってアメリカのイエズス会カリフォルニア管区の教会の方々から、多大な経済的・人的援助をいただきました。その1つにとして、サンホゼ市にあるベラミン学院の生徒たちから、理科の設備を充実させるために多くの寄付金をいただいています。それに対する感謝の言葉が、中央階段の職員室の前の壁に掛けられている木の板に記されています。
 私はこの夏にベラミン学院を訪れる機会があり、キャンパスを案内していただきました。イエズス会の男子校で、1学年400人ほどの生徒が4年間通う高校です。今年が創立して166年目で、カリフォルニアで最も歴史のある高校だそうです。学校のあるサンホゼを含む一帯は、IT関連企業が集中するシリコンバレーと呼ばれる地域で、そういう土地柄もあって、その方面での活躍を目指して意欲的に学んでいる優秀な生徒がたくさんいると聞きました。スポーツにも力を入れていて、野球やサッカー、フットボール、水球、その他色々な競技のチームを持っているそうです。
 このベラミン高校の生徒それぞれが、四旬節といって復活祭の前の40日余りの期間、何かを犠牲にして貯めたお小遣いを集めて寄付をしてくださいました。本校が創立して間もない頃のことだと思います。総額でいくらぐらいいただいたのか、なぜ理科の設備のための寄付だったのか、そのあたりのことはよく分かりませんが、多分そのお陰もあったのでしょう、当時の学院の理科の設備は、他校と比べてかなり充実したものだったようです。
 創立前に書かれた設立趣意書には「特に理科の教育を強調して、生徒の研究心を引き起こし、諸科学の根本原理の理解につとめ、現代の生活に対する能力と適応性を育てることが、広島学院の教育の特色の1つである」というような意味のことが書かれています。初代校長は、理科教育に特別な思いを持っていたのでしょう。今もその伝統は、受け継がれていると私は思います。

 ところでベラミン学院のベラミンとは、16世紀の終わりから17世紀にかけてカトリック教会のために働き、後に聖人に挙げられたイエズス会の司祭の名前です。イタリア人で、一般には聖ロベルト・ベラルミーノと呼ばれています。「彼にかなう人はいないと言われるほどの優れた学識と、貧しい人にも自分自身を捧げる豊かな徳を持ち、宗教改革の時代にカトリックのために大きな役割を果たした勇敢で謙虚な偉人」と聖人伝にはあります。
 ベラミン学院の校庭には聖ベラルミーノの像があり、“If you want to be an image of God, you have to love wisdom and justice above all.” と刻まれていました。松村先生の訳は「もしあなたが神の似像(にすがた)に即して生きることを望むなら、何よりも知恵と義を愛しなさい」
 広島学院も同じです。”Be men for others, with others.” を目指すために、何よりも知恵と義を求めることを大切にする学校であり続けたいと思います。