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講話

12月4日 朝礼

おはようございます。
 いよいよ12月になり、期末試験まで1週間となりました。創立記念の講演で司教様がおっしゃったような素敵なクリスマスが迎えられるよう、まずはしっかりと試験の準備をしてください。

 カトリック教会では、昨日の日曜日から待降節に入りました。クリスマスの4つ前の日曜日からクリスマスの前日までの期間を、待降節といいます。英語ではアドベントといい「重要な人物や出来事の到来」という意味のラテン語の言葉が語源だそうです。救い主の到来を待つということで、クリスマスを準備する期間という意味と、この世の終わりに再びキリストが到来するというキリスト教の教えをあらためて思い出すという意味があるそうです。
 クリスマスの準備として、中央玄関の奥にクリスマスツリーとアドベントリースが飾られました。ツリーはカト研の生徒が飾ってくれていますが、アドベントリースはいつも事務室の先生がご自分で作られたものを飾ってくださっています。リースの上には4本のロウソクが置かれていて、本来は待降節初日の日曜日に1本を灯し、次の日曜日には2本を灯すというように、日曜日毎に1本ずつ新たに火を灯します。クリスマスが近づくにつれて、明るさが増していくということです。
 また、聖堂の入り口には馬小屋の飾りが置かれています。この馬小屋は、ロサド先生が今年、新しく作られたものです。屋根瓦の部分を作るのに随分苦労をしたとおっしゃっていました。ぜひ聖堂に行って見てください。そしてもっと大きく立派なものを、今、製作中で、完成したら庚午のカトリックセンターに置くそうです。因みに、このようなイエスの誕生の場面を表した馬小屋を世界で最初に飾ったのは、学院の聖堂に名前をいただいているアシジの聖フランシスコだといわれています。

 アドベントの話はこれぐらいにして、先週の木曜日の中学の朝礼に、高校生徒会風紀委員長のI君が出向いて、中学生に対して、公共マナーの向上を呼びかけました。公共の場で周りの人に迷惑を掛けるのは、一つには周りの人の存在を意識できていないことに原因がある。そしてもう一つは、自分の行動が周りの人にどう思われるか、どんな迷惑を掛けるか、それを想像する力がないことに原因があるという話でした。その通りです。想像する気のないという人ともいるでしょうが、想像しようとしないことが、そもそも想像力が足りないということです。中学生だけでなく高校生もよく考えてもらいたい問題です。
 そして話の締めくくりに「勉強の偏差値も大事ですが、人間としての偏差値も大事ではないでしょうか」と呼び掛けました。この言葉は、この部分だけを取り出して語ると大変危ない。偏差値とは、もともと数値化して基準にするものです。人間の偏差値というのが、人間を点数化し、正規分布に当てはめて比較することを言うのであれば、それは差別を生み出し兼ねない。とんでもないことです。もちろんI君は、数値化したり比較したりするという意味で言ったのではない。人間としても、より高みを目指すべきだという話でした。
 実際には、迷惑を掛けている、マナーがなっていないというのは問題外で、迷惑を掛けないとか、マナーは守っているというのが当たり前です。だけど Men for others が目指すのは、そこではありません。それぐらいで充分だと思ってはいけない。勉強を頑張るのと同じように、人間としてもっと高いところを目指すことに、誇りを持って挑んでいく人間でありたいと思います。

 それともう一つ。今回のように、高校生が中学生に生活態度等について呼びかけるのは、大事なことです。それは上級生の役目だし、下級生は先生の言葉よりも上級生の言葉の方が響くことがあります。私も、もう50年近く前の昔話になりますが、中学生のとき、中学朝礼に高校生が来て、中学生の校外態度がなっていないと厳しく叱ったことを、今でも覚えています。校長先生の話よりも印象に残っています。本校でも、クラブ活動や美化委員、その他委員会活動で、上級生が下級生の指導をそれなりにやっているとは思いますが、学校全体で広く、上級生が下級生に対して積極的に上級生としての役割を果たすという校風がもっと育つといいなと思います。