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講話

11月12日 朝礼

おはようございます。
 文化祭が無事に終わり、連休も終わり、今学期も残すところあと1カ月余りとなりました。この1カ月は落ち着いて勉強に励んでもらいたいと思います。

 文化祭の前の朝礼で本庶佑先生のノーベル賞受賞に関する話をしましたが、もう少しその話を続けます。前回の朝礼で基礎研究について、何の役に立つか分からない一見無駄かもしれない裾野の広い研究があって、高い到達点が見えてくると言いました。そして、みんなが毎日やるべき勉強も基礎研究と意味合いの似ているところがあると言いました。
 その基礎研究に日本はかつては潤沢な予算をつけ、その結果、近年は毎年のようにノーベル賞受賞者が出ています。だけど、今は利益に直結しやすい応用研究に予算が偏りがちで、成果の見え難い基礎研究への交付金は減少傾向が続いており、日本の基礎研究分野の先行きは暗いと言われています。何事においても目先の成果を効率よく上げることにばかりに熱心に取り組む社会は、いずれいいものを生み出せなくなり、豊かさを失っていくのではないかという危うさを私は感じます。
 みんなの勉強についても同じで、特にこの先、AIが台頭する社会で自分の持てる力を発揮して活躍するためには、ますます幅広く学び、裾野を広げておかないといけないと言われています。それを疎かにして先行きが暗いということにならないようにしないといけない。

 本庶先生は、研究者を目指す若い人に、特に6つの言葉を掲げてそれを心掛けるように奨めておられます。その6つとは「好奇心」「勇気」「挑戦」「確信」「集中」「継続」で、英語に直すと、curiosity courage challenge confidence concentration continuationなので、「6つのCを心掛けよ」と言っておられます。廊下にこの6つの単語を掲げているので確かめてください。「好奇心を大切にし、勇気を持って困難なことにも挑戦しなさい。そして、必ずできるという確信を持って全精力を集中し、諦めずに継続することを心掛けなさい」ということだそうです。その中でも特に重要なのは「好きなことに挑戦し続ける」という「好奇心」「挑戦」「継続」の3つだとのことです。
 これは優れた研究者になるためにということでおっしゃったことですが、みんなの毎日の勉強においても心掛けなければならない言葉です。私の思いを言うと、どうしてだろうとか、もっと知りたいという「好奇心」を勉強の原動力にしたいが、好奇心は降って沸いてくるものではなく、地道な努力の「継続」によって芽生え、さらに高度なことへ「挑戦」することで育つものです。そういった努力を妨げるものは色々あるでしょうが、そんな誘惑を断ち切るのに「勇気」が必要なときがあります。そして、努力を続ければ、すぐに結果は出なくても必ず力は付いていくという「確信」を持ってそのことに「集中」することが、何よりも大切です。強引に6つの言葉を使ったように感じるかもしれませんが、こういうことを心掛けながら、初めにも言ったように、期末試験まで落ち着いて勉強に励んでもらいたいと思います。

 話は変わって、毎年この時期に伝えていることですが、11月はカトリック教会では亡くなった方のために特別に祈りを捧げる「死者の月」と定められており、本校では今週の土曜日に広島学院関係物故者追悼式があります。この学校と関わりのあった方々で、すでにこの世を去った人たちのご冥福をお祈りするとともに、こういう方々の関わりがあったから今の広島学院があり、私たちがここで学ぶことができるのだということをあらためて心に留めるための式典です。
 特に今年の1学期には、今までずっと一緒に学校生活を送ってきた生徒が1人、先生が1人、お亡くなりになるという悲しいできごとがありました。このお2人の学院での姿を思い出し、ご冥福をお祈りするとともに、お2人のぶんまでしっかりと学校生活に励むという決意を新たにする機会にしなければなりません。そのことも心に留め、きちんとした態度で追悼式に参列してください。