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講話

20250616 全校朝礼「MAGIS」

 先週末、国際会議場で小学生保護者に対して「広島学院スクールガイダンス」が行われ、そのプログラムの中で、ブラスバンド部が本当に素敵な演奏をしてくれました。近い席で鑑賞できたこともあって、私はその演奏に大変心が揺さぶられたのですが…司会の中村先生が、今日の演奏の出来を顧問の賀茂先生に尋ねたところ、賀茂先生は観衆の前でいつもの温和な笑顔を浮かべながら「今日演奏したのは、コンクールに向けて練習している曲です。そう考えると…35点」と仰いました。会場にいる保護者そしてもちろん、私もびっくりしましたが…一方で、学院卒業生の賀茂先生、そしてその薫陶を受け、ご指導を受けているブラスバンド部の皆さんから「MAGIS」の精神を強く感じました。 

「MAGIS」。 

 皆さんのポロシャツに刻まれている文字ですね。ラテン語で「もっと」という意味の言葉です。でも、「もっと点をとれ」とか「もっと偉くなれ」といった意味ではありません。「愛に生きるために、他者のために、より良いことを選び、より深く、より心をこめて取り組む」。それがMAGISの精神です。「MAGIS」が意味するのは、量の多さではなく、質の深さ。表面だけで終わらず、心の奥から動くこと。ただ終わらせるのではなく、そこに思いやりや意味を込めること。 

 いよいよ今週末は文化祭ですね。たとえば、皆さんが何かの企画の大道具担当だったとします。締切も近づいてきて、夕方遅くまで作業。ふと、こう思うかもしれません。 
「もうこれくらいでいいかな」 
「どうせ誰も気づかないし…」 
でもその時、MAGISを思い出してみてください。 
「もっと気持ちを込めて、より良いものにできるとしたら、どんな工夫ができるだろう?」 
「これが誰かの心に残るとしたら、何を大切にすればいいだろう?」 
 それは、誰かに勝つためではなく、誰かに感動していただくため。仲間との時間をもっと深く味わうため。見てくれる人の心により深く届くように。 

 文化祭の準備、色々な仕事があると思います。模造紙の文字を、丁寧に書き直すこと。あまり話さないクラスメートにも「手伝おうか?」と声をかけること。自分の担当だけでなく、困っている他の班の様子に目を向けること。ただ「やる」だけでなく、「なぜやるのか」を意識すること。それは小さなことかもしれません。でも、広島学院は、その「もっと深く」の心を大事にしてきました。 

 今週、文化祭の準備で疲れたり、焦ったり、イライラすることもあると思います。でも、こんな時こそ、MAGISの出番です。「MAGIS」というのは、比べることじゃなく、愛すること。いまの自分にできる「最善」を、心をこめて、深く選ぶこと。その先には、皆が喜び、楽しむ、文化祭テーマ「Re:Bell」の名に恥じない文化祭がきっとあるはずです。