最近、私には本当に嬉しい時間があります。それは、全国で活躍する広島学院の卒業生の様々な集まりにお招きいただくことです。 本校の同窓会は「翠友会」と呼ばれ、現在は15期生の粟屋先輩が会長を務めておられます。
関西支部、関東支部、四国支部、お医者さんの集まり、広島経済人の集まり…いろいろありますが、そうした集まりに参加するたびに、私はなんともワクワクした気持ちになります。 ただ、皆さんは「すごい先輩たちが集まって、さぞかし高尚な話をしているんだろう」と思うかもしれませんね。もちろん、近況報告をお互いしあう中で、それぞれの専門的なお仕事のお話もされます。ただ、それ以外、話題になるのは、だいたい学院時代の何気ないお話ばかりです。
「あの時、あいつが〇〇先輩にぶち怒られたよな」とか、「先生の目を盗んでこんなことをした」とか、「暑い日に、卒業生がおごってくれたアイスが最高においしかった」なんて話で、何十年も経った大人が、まるで今の君たちと同じ少年の顔に戻って大笑いしているんです。
そうした様子を見ていて、私は気づかされたことがあります。 普段、学校生活を送っている中ではなかなか気づかないかもしれませんが、本校には、目に見えない、しかしとてつもなく強固な「ネットワークの強み」があります。卒業して10年、30年、50年経っても、一度でもこの坂道を登り、同じ学び舎で過ごした仲間は、一生切れない太い絆で結ばれている。これは、本校が持つ本当に誇るべき財産です。
そして何より知ってほしいのは、その先輩たちの熱い思いが、目に見えないところで「広島学院の今」を支え続けてくれている、ということです。今日はお話できませんが、現在進行中の校舎建築にあたっても、沢山の卒業生の有形無形の真心があって、計画が進んでいます。
君たちが今、ここで不自由なく学び、仲間と笑い合えている環境は、そうした目に見えない先輩たちの愛情とサポートという土台の上に、成り立っています。
先日の集まりでは、親睦会に先立って、26期生の堂前宣夫さんのご講演がありました。
堂前さんは、6年間、岩国から広島学院に通い続けた後、東京大学、大学院と進学。世界的なコンサル会社に就職後、20代でユニクロを経営するファーストリテイリング社に転職します。といっても、当時90年代のユニクロは地元山口県内規模の企業だったわけですが、堂前さんは柳井社長の右腕としてそこからユニクロの世界進出を牽引、その後は「無印良品」を展開する良品計画にうつられ、同社の会長を務めらます。
堂前さんが良品計画で実践されたのは、本社の指示を待つのではなく、全国の店舗が自ら考え、その地域に合った貢献をしていく「個店経営」というスタイル、ということでした。つまり、誰かに言われて動くのではなく、自ら考え行動する「主体性」こそが、社会の役に立つためには絶対に必要だと語られました。
そして、スピーチの最後に、こうおっしゃいました。
「私の半生を振り返ると、まさに広島学院で日々聞いていた『Men for others』が、自分の中で生き続けてきたのだと思う」
この言葉を聞いた時、私は震えるほど嬉しかったです。 先輩たちが卒業後もこれほど強く結びつき、素晴らしいネットワークを築けている理由が分かったような気がします。
本校の卒業生は、ただ同じ学校を出たから集まっているのではない、心の中に、同じ「Men for Others, with Others」という熱いスピリットが流れているから、何十年経っても一瞬で繋がれる、と感じました。
来週からは期末試験です。
堂前さんのお話を借りるなら、君たちの勉強は、君たち自身の「個店経営」です。 誰からの指示を待つでもなく、自分には何が必要かを自ら考え、主体的に机に向かってください。
君たちが今、ここで真剣に学び、時に失敗し、仲間とアホらしいことで笑い合うそのすべての経験が、未来の君自身、そしていつか出会う誰かのために繋がっています。まずはこの試験前、自分自身の主体性を発揮して、「一人よりも二人で、ともに労苦」(コレヘト4:9)して、全力で挑んでください。