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講話

入学式式辞

 新入生の皆さん、広島学院中学校入学おめでとう。
 君たちは、先ほど担任の先生から一人ひとり名前を呼ばれ、しっかりと返事をして広島学院のメンバーに仲間入りしました。66期生として今日からこの学校で学ぶことになった君たちを、私たち教職員と在校生は心から歓迎いたします。
 この1年はコロナ禍によって、学校でも家庭でも、我慢をしなければならないことや、周りに配慮をしなければならないことが、いつも以上にたくさんありました。思い通りにはできないことも色々とあったでしょうが、それでも君たちは、今日の日を迎えるために精一杯努力を重ねてきたことと思います。今、その努力が報われた喜びを感じながら、これから始まる中学生としての生活に期待を寄せてくれていることでしょう。初めての環境に多少の不安を感じている人も少なくないかもしれませんが、それでもみんな、今日から広島学院の生徒としてしっかりと勉強をしよう、クラブ活動を張り切ってやろう、友達と楽しい時間を過ごそうといった気持ちになってくれていると思います。そういう今の気持ちを、忘れないでください。と同時に、これまで君たちの努力を支えてくださったご家族や先生方、友達への感謝の気持ちも、忘れないでください。

 さて、入学許可宣言に先立って聖書が朗読されました。イエス・キリストの活動や教えについて書かれた福音書という書物の一節です。この聖書の言葉について、少し考えてみましょう。
 イエスは、自分の話を聞きたいと集まってきた大勢の人々を見て、小高い山に登り、腰をおろして、様々な教えを説きました。その説教の1つが「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」という言葉です。
 君たちは、中学高校の6年間の学び舎として広島学院という学校を見つけ、そこで学ぶことを求めて門をたたきました。そしてその門が開かれ、今日の日を迎えています。だけどもちろん、それで終わりではありません。これからも毎日、広島学院の生徒として「求めなさい。探しなさい。門をたたきなさい」と、この聖書の言葉は君たちに呼びかけています。君たちは、この呼びかけにどのように応えたらいいのでしょうか。

 学校は学びの場ですが、「学ぶ」とは、ただ単に高い学力を付けることだけをいうのではありません。物事を深く考える力や、世界の現実を広く正しく見る目を養ってほしい。また、少々のことではくじけない強い心や、人のことを思い遣る優しい心を育んでもらいたい。そして、自分の判断で積極的に行動する力や、他の人と協力して問題を解決する姿勢を育ててほしい。このように、よりよく生きるために必要な様々な能力を身に付けようとすることが、学ぶということです。
 特にこれからの社会は、人工知能などに代表される科学技術の飛躍的な進歩により、大きく変わろうとしています。そんな社会で、自分の持てる能力を積極的に発揮して活躍するためには、今まで以上にこういった幅広い学びが必要だと言われています。

 君たちには、この学校でたくさんのことをしっかりと学ぼうという意欲を持ってもらいたい。幅広い学びを、求めなさい。
 その学びのチャンスは、学校の中にいくらでもあります。毎日の授業はもちろん、クラブ活動や色々な学校行事、さらに友だちや先生と過ごすひと時も、学びのチャンスです。そのチャンスを、学校中で探しなさい。
 そして、チャンスを見つけたら挑戦してほしい。「門をたたきなさい」とは「挑戦しなさい」ということです。挑戦をしないと実際に何も始まりません。学びのチャンスを見つけたら、失敗を恐れずにその門をたたきなさい。

 そうやって学んで得たものを、私たちは、自分のためだけでなく、多くの人の幸せのために役立てなければなりません。「人にしてもらいたいと思うことを、あなた方も人にしなさい」と聖書の言葉にもありました。広島学院は “Be men for others, with others.” を目指しています。「他者のために、他者とともに、生きる人でありなさい。」という意味です。
 この目標を実現するために、君たちには高い志を持って、学びの機会を真剣に求め、一生懸命に探し、しっかりとその門をたたいてもらいたい。そうすれば、毎日の学校生活はより楽しいものになります。
 これから6年間、君たち66期生がみんなで力を合わせて、たくさんのことを学び、楽しく充実した学校生活を送ってくれることを心から願っています。

 最後になりましたが、新入生の保護者の皆様、ご子息のご入学おめでとうございます。
 今、生徒にも話しました通り、広島学院は、“ men for others, with others”を体現するリーダーの育成を教育目標に掲げています。ご子息にはこれからの6年間、持てる才能や能力をより高めるとともに、豊かな心を育み、調和のとれた人格を形成して、将来それぞれが進む道で、人の幸せのために自分の力を惜しみなく発揮する人間に育ってもらいたいと願っています。そのために、生徒一人ひとりが様々な学びを積極的に求め、探し、そして門をたたくことができるよう、教職員一同、日々努力をしてまいりますので、保護者の皆様におかれましても、どうぞ私どもの教育にご理解を賜りご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 新入生とご家族の皆様の上に神様の豊かな祝福がありますよう祈りつつ、式辞とさせていただきます。